あなたの思考レベルといっきに上げる方法

仕事
Man walking in abstract maze. 3D generated image.

 あなたは仕事や生活で役立つ思考法をさがしているのではないだろうか。そこでロジカルシンキングを紹介したいと思う。論理的に考えて最適解を導き出す思考法でコンサル会社などでよく使われる。実際、有名所のコンサル会社ではこのロジカルシンキングのメソッドが確立しているため、どの社員も一定以上の成果を挙げることができる。このロジカルシンキングの入門書として良書に出会ったので紹介したいと思う。「シン・ロジカルシンキング 望月 安迪 著」である。

 3種類の思考法(演繹法、帰納法、アブダクション)の仕方で印象に残った点を紹介していこうと思う。

演繹法

 演繹法とは前提条件から物事を思考していく方法である。例えば今の二十代は結婚に消極的だという前提条件があるとする。そこから一人で楽しむ時間に充実感を感じる人が多いはずだから、旅行会社はおひとり用パック、食品会社はお一人様にちょうどいい量のプチ贅沢お取り寄せセットを充実させるとよい、など前提条件から論理的に思考していく方法である。

 前提条件さえ定まっていると,そこから論理的に筋の通る話を考えると大きく目的からそれることはないが、その論理的転回を2,3段階与えてやらないと誰にでもわかるつまらない回答になってしまう。上記の例でいうと、おひとり様のものを求める人が増えていくとするとそれに関連して、量より質を求めるのが主流となり、ブランド品やオーガニック食品の消費が増えるかもしれない。最初の前提条件から示唆されるものを捜していく必要がある。

  また、この思考法をさらに仕事に活かそうとすると、自分の頭の中で完結するわけでなく、思考法の答えを待っている相手のニーズも考えなくてはならない。著書の中でも論理だけでなく条理も意識すべきだと述べられている。論理だけに焦点を当てるのではなく、実際に有益な情報を生みだすことも重要である。

帰納法

 帰納法とは、いくつかの具体例から前提条件を導きだす思考法である。例えば一年間の中で3月、8月に衣服の購入量が増える。同時期に参考書や実用書の購入量が増えるという具体的な事象があるとする。ここから考えられる前提条件は新しい環境や学期が始まるタイミングで人は消費行動に移りやすいということである。その前提条件を利用して企業は様々なセールや広告などで消費者の行動にアプローチできるはずだ。帰納法は事実に基づいて前提条件を示唆するため、多くの事実から導きだした答えはかなりの説得力を持たせることができるはずだ。研究の分野などではよく用いられる方法ではないだろうか。

 実際に私も学会などに参加するときは具体的な症例を集めて、そこからいえることを考えて発表テーマを考えたりすることがある。他にも自分の気分にさざ波をたてる具体的な条件を洗い出してみたりすると、自分の障害となりうる前提条件を考えることができる。

 また、ここでも示唆の力が必要である。データの分析などの具体的な内容から一つの前提を導き出すのは、ある意味手順を踏めば誰にでも何らかの答えは出せる。一見関連がないような複数の具体例から法則を導きだせると一気に価値が高まる。著書の中で紹介されている例だが、川の上流が濁っていると下流も濁る。上司の指示が下手だと部下の動きも悪くなる。個々からいえるのは何事も最初が肝心だということだ。川と組織には関連がないが、一つの前提を考えることが出来た。こういったアイデアが必要となる。

アブダクション

 アブダクションという言葉に聞きなれない人は多いと思う。和訳すると「仮説する」である。解決したい問題に対して何らかの仮説を立てて良いアイデアを考えるというアプローチである。その仮説が論理的であるかどうかは関係がなく、その仮説が役に立つかどうかがポイントとなる。演繹法や帰納法はその論理的な解決策を導くための道筋が重要となるが、アブダクションは論理的かどうかは二の次で、魅力的な解決策の発見に焦点を当てている。

 著書の中で述べられている、ニュートンの逸話が非常にわかりやすかった。地面に落ちつリンゴをみて引力というひらめきを得たわけだが、リンゴの成分や色、形を熱心に解析して導きだしたわけではなく、ただリンゴが落ちたという事実から引力の存在を仮説した。演繹法や帰納法が一段つつ結論へ近づいていくものだとすると、アブダクションは最初の一手で結論にたどり着くものである。

 弱点としては先に述べたように論理的矛盾点がないかどうかの確認は二の次であるため、本当に成り立つかどうかはわからない。ただ、一味違うアイデアを生み出したいのであれば大変有用な活用法だ。

 こういった使える仮説を生み出すには、対象となる問題に関連性のある情報や行動に常日頃から触れておくこと、感じた問に対して面倒でも何かしらの仮説を立てるくせを付けておくと日常的に仮説を立てることが出来る。また、全ての思考法に対してまずは質より量をこなすべきであると述べられている、自然に3種類の思考法をできるようになって自然と質がついていく。

まとめ

 演繹法や帰納法は論理的な思考であるため、説得力のある説明をする際には非常に有用である。しかし、人をあっと驚かせるアイデアは生まれにくい。この弱点を補うためにアブダクションを利用していくイメージが重要である。また、アブダクションを生み出すには良質な問いも必要不可欠である。問いとアブダクション、演繹法や帰納法を組み合わせていく具体的な思考サイクルが著書中で紹介されているためぜひ手に取ってみてほしい。

 

 

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