青春系の小説を久々に読んでノスタルジーとかなんとも言えない感情を抱いた一冊に出会えたので紹介したいと思います。恩田陸の小説にはまっていたのですが、その中でも「夜のピクニック 恩田陸」に心を動かされました。本屋大賞にも選ばれた小説なので知っている人も多いかもしれません。
あらすじは、主人公の貴子が所属してる高校では一年に一度「歩行祭」が行われます。真夜中も同級生達と歩き通しながら、それぞれ自分の心の中に秘めた気持ちを告白したり、察したりしながら人間的に成長していく物語です。一日かけて歩き通す歩行祭では体力的にも気持ち的にも大変タフなものですが、その歩行祭の山場と主人公たちの心理的な山場も重なって引き込まれていきます。
自分が感じたことを3点ほど紹介したいと思います。
自分も青春してたんだな
あの人は誰と付き合っている。という学校内ゴシップに盛りあがったり、何気ない目線や会話にちょっとドキドキする。こういった青春を思い出させてくれる描写がたくさんあって、自分の学生時代を振り返ってみると自分も意外と青春していたことを思い出させてくれた作品でした。社会人になって仕事のことばかり考えていると高校時代の青春を思い出す回数も減っていきます。自分の青春時代を懐かしんでノスタルジックな気持ちになっていい時間を過ごせました。
今まであまり青春ヒューマンドラマを描く物語を読んでこなかったですが、かなり面白かったです。社会人になって数年経ったというのももしからたら大きいかもしれません。
大人になってから読むのが結構いいんじゃないかと思います。
思春期ってやっぱ必要
小説のなかでは登場人物が抱えたそれぞれの悩みが会話の中で明らかになっていきます。主に人間関係に焦点を合わせたもので、みんな思い思いに悩んでいます。今思えば何恥ずかしがってたんだろう、何透かしてたんだろうとちっぽけな悩みに感じることを当時は深刻に悩んでいたなと思い出させてくれます。でも、思春期だからこそのもやもやとした悩みや、未熟な心から生まれた失敗や教訓は必ず今の糧になっているとも思います。
自分の場合はなにかと斜に構えるというか、晴れない気持ちを環境のせいにしたり、逃げたりして周りに比べて出遅れている現実に蓋をしてしまっていた節があります。大学生になって自分の将来のために努力できた成功体験を得ることができました。高校時代の失敗が活きたんじゃないかと今になって思います。
小説の中の主人公たちはみんな強く魅力的なキャラクターなので、友人の力を借りつつ自分の力で悩みを解決していきます。自分はそんな強くはあれない学生時代でしたが、この小説のおかげで自分のもやもやとした思春期時代を肯定できた気がします。
大人になっても結局同じ
物語では主人公がある賭けをして、その賭けに勝ったらある行動に踏み込むという1つの鍵となる要素が描かれています。人間関係に関することですが、詳しい内容な小説を読むことをお勧めします。
どんな年代の人でも結局みんないろんな悩みを抱えています。けど、結局時間が経過するとたいていのことはなぜあんなに悩んでたんだろう、たった一歩を踏み出せなかったんだろうと思うことばかりです。小説を読んだおかげて自分の悩みが以外とちっぽけでまず、一歩前進させることが大事なんじゃなにかと勇気がもてました。大人になってもやらない後悔ばかりで人生を終わらせたくない人にはお勧めです。
まとめ
今回はいままで手をつけていなかったヒューマンドラマ系の小説を読んでみました。普段あまり読まない小説を読むのも結構いいなと思いましたし、たった1冊で自分の過去が肯定されて、やはり読書はこういった出会いがあるからいいなと改めて思いました。