私達は日々いろんな判断を下しながら生きている。この判断の質を上げていくための脳の使い方を解説しているのが、岩立康男(千葉大学 脳神経外科学元教授)著の「直観脳」である。何か物事をじっくり考えるとき、重要な判断を下すとき、私達はその問題に一点集中することによって良い結果が得られるはずだと思っている。
しかし、この著書では良い判断は脳を広く使うことが重要だと、新しい視点を与えてくれている。
集中して物事に取り組むことも確かに重要で、細かい作業をするときや試験中では特定の脳の領域を働かせて問題を解決していけばよいが、良い判断、クリエイティブな発想が必要な場合には脳を広く使うことが重要であると繰り返し述べられている。
景色見ながらの散歩や入浴、ぼ~としている時間では脳は広く使われた状態であり、こういった状態の方が短絡的な判断ではなく、今まで自分が培ってきた知識を無意識のうちに利用することができるという理論である。確かに天才的な発想やアイデアはリラックスした状態で急に降りてくるようなイメージがある。
この脳が幅広く使われてる状態というのは無意識の下で行われている、著書では無意識下で脳を幅広く使うための行動を紹介してくれている。得に自分が気にいっているのはアートに触れるというものだ。自分自身絵を描くことがすきなため、積極的に芸術的な時間を確保していきたいと思う。
また、無意識下で働く判断の質を上げていくには物事の本質を理解し、体験していく経験の意味を理解して自分のものとして蓄積していくことが重要だとも述べられてている。木を見て森を見ずという言葉があるように物事の本質を見抜くことがやはり重要であるということだろう。
判断力というテーマとは少し脱線するが著書ではAIと私達違いにも触れられている。AIは学んだことを忘れることができないが、人間は忘れることができる。この忘れるという能力によって人間の独自性が育っていくのだと述べれている。目から鱗であった。そのほかにも直観力とは何のか、脳の働きを交えながた説明してくれている。脳を幅広く使うという概念に興味のある方はぜひ手に取っていほしい1冊であった。