哲学から学ぶ①

哲学

 哲学と聞くととっつきにくいイメージがあり、自分には理解できない領域なのではないかとおもっていたが、哲学を学ぶ入門書として良い1冊にであった。

 「武器になる哲学 山口周」である。哲学用語の意味の解説とその用語の著者の解説がコンセプトごとに紹介されている。著書の解説では現代人の世界に当てはめた内容となっているので、用語の理解がしやすいのと、実生活に応用しやすい。

今回は「人の行動」について解説された章で印象にのこった3点を解説していく。

①ルサンチマン

 ルサンチマンとは嫉妬、怨恨、憎悪、劣等感などが織り交ざったもので、著書のなかでは「やっかみ」を表す言葉として紹介されている。ルサンチマンをもつ人が示す反応は2種類あると紹介されている。1つ目はルサンチマンの原因となる物や基準に服従する。2つめにルサンチマンの原因となる物や基準を転倒させる。

1つ目の反応は、自分の持っていないブランド品や宝石類を持っている人達との間に生まれたルサンチマンを解消するために、実際にそのものを買うというものである。時計や、宝石店、ブランドショップはこのルサンチマンを巧みに利用して、新しい商品を出す度に利益をだすことに成功している。

 このルサンチマンは自分の仕事のやる気を高めてくれる材料になりうるが、本当にそのブランドに価値を見出せているから消費するのか、それとも外部から発生したルサンチマンによる購買意欲なのか見極めることが重要だと解説されている。自分の価値をいつのまにか捻じ曲げてしまっているかもしれない。

2つ目の反応は、ルサンチマンを生み出したもの自体の価値を低く見積もって、自分の欲求を抑えるものである。ブランド品なんか、たいしたことない自分のもっているユニクロと対して変わらない。というように対象の価値を下げて劣等感を解消しようとするものである。

 ユニクロのシンプルなデザインやお手頃価格でハイクオリティな部分が好きと言えばよいところをあえて高級店ブランドを下げるような発言をする。こういった反応は自分の目指す目標を落として成長を阻害する恐れがある。

 ルサンチマンに対する反応を説明したが、自分の価値感にそってなぜそのものが好きなのかを考えて、過大評価、過小評価せずに物事を判断することが重要だと感じた。

②ペルソナ

 ペルソナとは自分と世界を隔てる仮面であり、人はいくつもの「ペルソナ=仮面」を使い分けている。職場の自分、家庭での自分、友人といる自分、どの自分も全く同じという人はいないと思うし、決してそれはマイナスなことではないと解説されている。

 職場では隙のない頭の切れる上司が、家ではパートナーにデレデレだというパターンが時々あると思う。こういったペルソナの使いわけで、様々なストレスを解消してバランスを取っている。自分も職場の自分と友人と過ごす自分は全然違う。職場ではそんなに笑う方ではないが、友人といる時は些細なことでも笑っている気がする。

 環境によって人は自分を使いわけているので、本当の自分がわからないという人もいると思うがどれも自分であり、それでバランスと取っているのだなと改めて学ぶことができた。もし、そういったことで悩んでいる人がいたら、ぜひ覚えていてほしい内容であった。

また、著者はペルソナの解説のなかで、SNSが発達している今、学生などは特に家に帰っても友人を繋がっている時間があることに注意を促している。家にいても友人と接するモードを切り替えられな人が増えている。確かに対人関係のストレスが増えそうな環境ではある。自分も休日は職場の人間関係は持ち込まないように注意していきたい。

③悪の陳腐さ

 正義と悪と聞くと対局に位置しており、正規分布で示すと両端に位置するようなイメージを持つ人も多いと思う。では、実際に悪を成す人達は、正規分布の端に位置するような極限られた人達なのかということハンナアーレントのナチスのアイヒマンについて述べた著書をもとに解説してくれている。

 ナチスのユダヤ人ガス虐殺を計画したアイヒマンは、猛烈な思想や目的を持っていたのかというとそうでなく、ナチスの中でただの歯車として己の出世や任務の遂行に対して忠実であっただけだと述べられている。数パーセントの悪人ではなく、言われた命令に対してただ忠実に動いた多くの人間によって引き起こされた悲劇であるということである。

 今の世の中でも同じようなことが起こっている。上司の命令、同調圧力などから何も考えずに行動した結果、様々な悪を引き起こすことは往々にしてある。実際その悪の一員にいつのまにか自分がなっていることもあり得る。

 自由というものに価値が置かれてる考え方が今広がっており、働き方も変わってきている。フリーランスも増え、情報発信などもいまどういった年代でも自由に行うことができ組織に縛られることは時代遅れだという若者も増えている。自分もその考えに賛成できる点は多い。

しかし、自由とはある意味大きな責任を伴い、良い悪いの分別も自分の頭で考え、物事を判定していかなくてならない。自由というものに触れる機会が多くなっている現代だからこそ、何も考えずに行動し、悪の一員になってしまっているかもしれない。悪の陳腐さという表現は大変考えされられたし、今後も意識しておきたい考え方であった。

まとめ

 今回は著書の中で人の行動に基づく哲学的な考えを紹介していみた。他にもたくさん紹介されているので、手に取て読んでみてほしい。

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