哲学を人生に活かす方法③

本を囲む人達 仕事

 「武器になる哲学 山口周」の内容の紹介を哲学から学ぶ①哲学から学ぶ②で行ってきた。今回は社会における有用な哲学用語の紹介を行っていきたいと思う。今回も自分の中で気になった3個の用語を紹介していく。

①一般意思

世の中の意思決定をするAIが誕生?

 一般意思とは社会で活動している我々の意見を一つにまとめたものであり、この一般意思によってものごとの判断をしていくことによって、良い選択を行えるという考えた方である。

 実際にGoogleは似たようなシステムを利用して私達の検索履歴などのデータを収集している。検索履歴などのデータを一つにまとめて、私達の興味関心がどういったものに注がれているのかがわかる。ある意味一般意思の一つであるといえる。AIが発達している今一般意思を組み込んだ意思決定をしてくれるAIが登場するかもしれない。

 しかし、こういったシステムがもし実現したとしても問題点がある。著書の中では、誰がそのシステムにアクセス権をもつのか、もしその一般意思を集約したシステムの判断が倫理的に間違った判定をしていたらどうなるのか。といった問題提起をしている。

  他にもAIは莫大な情報を学習しているが、その情報に偏りがあるといわれている。また、世の中には数値化できない、宗教、人種などの問題もある。こういった問題とも折り合いをつけてく必要がある。

 我々の意見を集約して判断をしていくことによって優れた決定ができるようになるとは思うが、だれが管理するのか、倫理的な問題はどうなのかといった問題点がある。AIの時代に突入し、データの処理のスピードが上がって生きている今、一般意思によって世界が動かされていく日も遠い未来ではないのかもしれないが、法整備が追い付かないという事態も十分にありうる。

②神の見えざる手

神の見えざる手によって世界は勝手によくなる

 神の見えざる手という言葉は経済学の教科書で見たことのある人も多いのではないかと思う。経済における需要と供給によって、自然と価格は適正値に収まっていき、実際にその価格で購買が行われていく。この適正価格に収まっていく様を神の見えざる手によるものだと表現されている。

 物事の成り行きを自然に任せることによって、だいたいの人にとって良いものに収まっていくという現象は経済界のみに限った話ではない。著書のなかで紹介されている道の話はなるほどなと納得する内容であった。建物間に効果的な小道をつくるとしたら、どうしたらよいか。

 そのまま放置しておくのが正解だと著書で述べられている。大多数の人が通るあとには、勝手に道ができる。しかもその道は、ある程度は効率的な道として機能する。まさに神の見えざる手。

 私も子どもころ雑木林を探検したとき、多くの人が通る道には勝手に道ができていた記憶がある。こういった自然に任せる考えは思考を放置しているという考えもできるが、今の世の中は複雑なものが多く、全てに意識を集中させる時間はない。こういった放置という作戦も意外と有効かもしれない。

  結果を自然の成り行きに任せることによって、大多数に利益をもたらす結果に収まることがあると解説してきだが、利益を優先しすぎると環境問題や倫理的な問題なども発生しうる。バランスを考えつつ使用するとよい結果を生むはずだ。

 今の世の中は多様性が良いものとされ、様々な価値観を持った人が生活している。無理にみんなをルールで縛りつけるのではなく、自然発生的に生まれるルール的なもののほうが大多数の人にとって心地のよいものになるのも一理あるのかなと思う。

 

③アノミー

アノミー化社会との繋がり減っていく

 著書の中でアノミーとは「無連帯」をさす言葉とされている。働き方改革や、会社に属さずフリーランスで自由に働くことが、クールだとされている世の中になったという感覚は皆さんも感じるところがあると思う。社会に属するという感覚が薄れることによる孤独や自由を得たあとの現実とのギャップによって、心を病み自殺が増える。このような自殺を「アノミー的自殺」と著書のなかで紹介されている。

 ひと昔前までは、会社でバリバリ働くことで、自分も社会の一員だと感じることができていたが、今はそういった働き方ではない。それに加えて家庭を築く人も減っていっており、家族というコミュニティも当てにならないというダブルパンチだ。

私を含め、今の若い世代の人達は今後の未来を見据えるのがかなり難しく不安感を抱えている人も多いと思う。人とのつながりでなんとか乗り切るというより、ネットやサブスクリプションなど娯楽に逃げて積極的に人との繋がりを求めている人も減っているような印象がある。また、多様性の時代といわてれいる今、共通の規範というものも存在していないこともアノミー化の原因となっていると思う。

このアノミー化の防波堤になりうるものはなんだろうか。

 著書のなかでは家族の復権、ソーシャルメディア、会社ではなく職業内でのギルドが解説されてりる。私は職業内でのギルドに関心を持った。会社ではなく、同じ職業の人達とコミュニケーションを取り、社会的なコミュニティを作る方法はかなり良い案だと思った。実際に海外ではこういった試みは一般的らしい。情報交換や業務改善のための案を共有したり、今後の世界への対応を一緒に考えるなど、有益なつながりができると思う。

 個人的に思うのは、アノミー化が進むのは致し方ないとして、人との繋がりが薄くなっているときに自分の道を照らす光となるような明確な価値観を各自持っておくことも大事だと思う。

 今回学んだアノミーの概念は、痛いところを突かれたなと感じた。一人で社会に頼らずともやっていく自分カッコいいだろみたいな感覚はわかるし、少なからず憧れていた。社会との繋がりが希薄になっている世の中に新しい問題があることを学べた。人間やはりどこかで他の人の力を借りないと生きていけないのかなと納得する内容だった。

まとめ

 今回紹介した社会における哲学的な用語はかなり、ハッとする内容が多かった。今回紹介した用語は個人レベルの話ではなく、社会レベルの話である。意識しておかないといつのまにか解説したような状態に陥っている可能性もある。逆に今後を生きていくなかで、今回紹介した内容を意識しておくこどができれば、他の人よりも俯瞰して世界を見つつより良い未来を作っていける可能性が上がるはずだ。

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