イノベーションの新理論:弁証法的アプローチが導く市場創造

哲学者 哲学

 変化の時代に自分で未来を予想し、新しいビジネスチャンスや流行を作り出すことは容易ではない。しかし、そのヒントを与えてくれる1冊にであった。「使える弁証法 田坂広志」である。この本では弁証法とは何か、弁証法を使うための法則、弁証法を身に付けることによって得られるものをを解説していくれている。大変読みやすい文章でたくさんの例をももとに解説してくれている。著書の内容を解説していく。

弁証法とは何か

弁証法とはヘーゲルやマルクスなど歴史的な哲学者が多段階的に作り上げていったもので、対立する概念や意見の相互作用を通じて、より高次の真理に到達する思考方法であるとされている。弁証法には3つのステップがあり、

:定立(テーゼ)を確立する

:定立に対する否定や対立する反定立(ジンテーゼ)を考える

:定立と反定立を統合して、より高次の理論へと導く

この3ステップで成り立っている。2元的な考えではなく、2つの間をとるというか、ちょうどいい歩合に融合させた意見を作り出すことを弁証法という。

弁証法を使うにあたっての法則

 また、この弁証法を活かすために知っておくべき世の中の法則があると著書のなかでは言われている。世の中は螺旋的に成長しているということだ。螺旋階段を上からみると円を描くように人は登っていき、同じ道をぐるぐる回っているように見える。しかし、横からみると着実に上へ向かっている。

 これを世の中の流行に当てはめると、時代が過ぎ去っていく中で流行りは繰り返すが、技術的には何か進歩しているということだ。著書の中では手紙→電話→メールの流れを一例として紹介している。確かに手紙という文字で伝える文化から、電話が流行り、現在はまた、文字で伝える文化が主流になっている。しかし、伝えたい内容は今はどこにいようが一瞬で相手に送ることができる。技術躍進によって、確実に階段は登っているということだ。

 昔流行ったもので、今はもうないもの。それには何か欠点があって消えていったはずだ。技術が発達し、その欠点を補うような状況が作り出せればいつかまた、流行る可能性があるということだ。昔あったサービスを現代風にグレードアップすることだできれば大きなビジネスチャンスになるかもしれない。古い町並みかな何かインスピレーションを受けれるかも?

 昔流行っていたものを定立する。その流行ったものの問題点、なぜ消え行ったのかを考える。最後にその問題点を解決し、流行していたものの良さを引き出す方法を考える。こういった流れで弁証法を使っていく。昔に比べて時代の回転率が上がっている今、この方法で新しいトレンドを生み出せる可能性は多いにあるはずだと感じた。

 私が、流行るというかまた、脚光を浴びるのは「家族」だと思う。今は独身でも楽しく暮らしていけるし、おひとり様文化もいいところがたくさんある。しかし、人間関係の希薄化が進んでいるのも事実だと思う。人との繋がりを求めている人は今多いとおもうので、また家族を作る人が増えるんじゃないかと予想している。自分の時間が減る、お金がかかる、家族ぐるみの行事が面倒、こんな悩みの種を解決してくれるような制度や技術?が出てきたらまた日本の未来は明るくなるかも

弁証法を身に付けることで得られるもの

 弁証法とは、一方の意見を打ち負かし、白黒つけるような思考法ではないとすでに解決したが、こういった相手の意見をといり入れながら高次の解決策を模索していくのはコミュニケーションスキルとしても有用な手段であり、人間関係作りにも役立てることができる。

 一方の角度からではなく、多方面的に物事を考えることができるので純粋に頭もよくなるだろいうし、先見の明を得ることができるはずだ。現状の問題点を見つけ出したり、逆に良いとされている意見の弱点を見つけ出したりすることができる。私達の意思決定の際にかなり役立って来ると思う。

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