AIと民主主義の未来について考える

哲学

個人の意見を超えた最適解とは? では、ジャン・ロック・ルソーの「一般意思」について解説した。また、「一般意思2.0 東浩紀」で述べられている内容についても紹介した。一般意思をデジタルデータとして利用し、政治に国民の無意識を政治に反映させるというものである。今回はこの一般意思を政治に反映させることについて深堀していきたいと思う。

 一般意思のデジタル化とは?

  一般意思は、国民全体の意見を集めた時に全体にとっての最適解とされるものだ。このような一般意思はデジタル化が進んだ今、現実にデータとして取り扱うことができるのではないかと、「一般意思2.0 東浩紀」で述べられている。実際にGoogleの検索サービスでは、単語を打ち込むと多くの人が検索している関連ワードが勝手に表示される。人がどんなものに興味があって、よく利用されているかというデータが蓄積されているため、そのデータを一般意思とし利用することで、多くの人にとって好ましい社会をつくれるのではないかという試みである。

 また、現代では様々なSNSが発達しており、私達が何に興味関心を抱いているか判断するデータは山のようになる。AIが発達してきている今、そのデータを有効に利用する手段もAIが提案してくれる未来が来るのではないかと思う。

具体的にどう政治に組み込むのか?

 著書の中では、リアルタイムで国民の声が反映されるニコニコ生放送のようなものを政治に反映し、政治家が熟議を行っている最中に国民の声がリアルタイムで移し出されるようなアイデアを紹介している。必ずその国民の声の通りの案が通らなくても、そういった生の声が存在するだけでも政治家はその声を無視はできなくなる。著者はあくまでも、リアルタイム流れるコメントは熟議を行う上でのツールであり、一つの道具として活用していくことを強調している。

 私個人としての意見は国民の声をAIに読み込ませて、予算や期間など細かい条件は専門家に設定してもらい設定した条件下で効率の良い案をAIに提案してもらうのが良いのではないかと思う。ここでも最終的な判断は、立場のあるものが行うため、先ほど述べたように一種のツールとして政治に反映させていけばよいのではないかと思う。人間特有の感情に左右されない、合理的な案をきっと提案してくれるはずだ。

倫理的な問題は?

 まず、一番に挙げられるのはデジタル世界に存在する国民の大多数の意見、すなわち一般意思に誰がアクセスできるようにするかという問題がある。アクセスできる人が制限されるとブラックボックス化することになるため、アクセス権のある人達に都合の悪いデータは削除されているかもしれないという、疑念がずっと晴れない事になる。こういったデータを実際に有効活用できるようになれば、戦争の火種になる可能性もある。

 また、AIの精度が高まっていきAIの判断が政治に大きな影響を与える未来が来た時、自分や自分の家族に不利益な政策がこの世界全体にとっては最適解だと判断されたとき、素直にその政策に従うことができるだろうか。技術的には夢のある話だが、倫理的は問題は解決するのがかなり難しそうだと感じた。

私達の生活に活かす方法

 デジタルデータを活用した「一般意思」が実現した場合、私達の生活に活かす方法があるのか考えてみた。また、実現していない現代でも自分の生活を向上させる足がかりになるかもしれない。

 仕事

 お客さんを相手にする仕事であれば、ターゲット層が今、何に興味があるかデータによって察知して自分達のアイデアに反映させていくことも可能だと思う。また、仕事も個人で完結させるものよりも組織で動いていくことの方が多いと思う。組織内の効率化にも会社内の「一般意思」を利用すれば、予算や人事配置の最適化も可能なのではないかと考える。

 私は医療従事者として働いているが、患者の要望などを「一般意思」としてデータ化し、それを病院の予算や人事配置に適応させることが出来れば運営の最適化が可能なのではないかと思う。この「一般意思」という考えは仕事においてはかなり有効なツールになるのではないかと思う。

 「一般意思」をデータとして取り扱う技術は現在のとこと確立していないが、自分目線だけでなく一歩引いて全体像を見渡すという考えは今現在を生きている私達にもかなり大切な考えになってくるのではないかと思う。こういった目線には数多くのビジネスチャンスが転がっているはずだ。いろんなアイデアを取りこぼさないように意識していきたい。また、一般意思の活用で意思決定の負担が軽減されることで他のことに人員や労力を割くことが出来さらに効率的な仕事をこなせるメリットがある。

 

お金

 もし一般意思を上手く活用することできた場合、国にある資源を効率よく使うことだ出来るため、私達の払った税金が有効活用されるようになり、国民の満足度も上がって生産性も向上して収入の増加も見込めるかもしれない。税金が効率的に活用されているんだという安心感があれば購買意欲も上昇してお金の巡りや良くなっていくかもしれない。組織といった大きな枠組みで一般意思の活用をみるとメッリトを感じることができるが、一個人としても十分に恩恵を得られる可能性がある。

 一般意思の考えはマクロを見る考えに通ずるところがある。市場全体をみる視点は経済を理解するうえではかなり重要な考えだ。今後、自分達で資産形成をしていくことが日本でも当たり前になってくると思うが、一般意思の考えを利用して我々国民も自分で経済の流れを把握していくことが求められていくのではなかと思う。今回であった本で全体の意思を考えるという大きな学びを得ることができた。

 

 

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